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ペッシェドーロ

  • 2006-08-13 (日) 14:54
  • 煩悩

「元気だった?」
 
「・・・うん」
 
「どうした? その間は?」
 
「元気だけど元気じゃない」
 
「穏やかじゃないねぇ」
 
 

 
 
久々に再会した人と、
気兼ねなく食事がしたかった。
 
変わらぬ美しさを感じさせる表情に影を見つけたから
少しだけ探りをいれてみたのだが、特に深い意味など最初から持ってはいなかった。
 
 
「ここを離れる決意をした時、
 貴方に言われた事が今はよくわかる。」
 
「色々と話したよね」
 
「うん」
 
「何が?・・・」
 
「今、孤独なの。 私。」
 
「やりたい事のためにステップアップしたんだから、
 有る程度孤独でも仕方ない・・よ?」
 
「うん、わかってる。」
 
 

 

 
 
ジローフィオーレの系列店でありながら、かなりマトモなイタリアンを食べさせてくれる店。
 
ワインの安さは特筆すべき程で、コストパフォーマンスに優れたバランス感覚の良い経営は、
最高級リストランテと比べない限り、あまり文句が出ない巧いやり方なんだろう・・と感じている。
 
店の名前は「ペッシェドーロ」
黄金の魚という意味のこの店はミラノのトラットリアイメージしているらしい。
 
 
「焼き野菜のマリネとペペロンチーノ、セコンドは子羊?なら
 ワインは以前に頼んだNERO D’AVOLA・・・かしら・・」
 
「記憶力がいいね」
 
「貴方ほどじゃないわよ」
 
「記憶力がいいのは嫌な思い出だけなんだよなぁ・・・」
 
「あら、残念。
 私の事なんてもうすっかり忘れてるのね」
 
「なんか、からむね」
 
「茶化すからよ」
 
 

 
 
この店は、ある時からアテンドが良くなった。
気の遣い方の質が、凄く向上したのだ。
 
リストに無いワインの勧め方も嫌味なく、
料理もちょっとしたワガママに対応してくれる柔軟性を持っていて、
その上、こんな風な2人はさりげなく放ったらかしにもしておいてくれる。
 
 
「やっぱり貴方の言う事、聞いておけばよかった。」
 
「実際に現実にならないとわからない事・・・だったでしょ?」
 
「うん。
 悔しいけど・・・」
 
「だてに歳はくってないんだぜ」
 
「そうね。」
 
「で・・・?」
 
「胸張って帰ってこれるように、
 もうちょっと頑張ってみる。」
 
 
経験とは、失敗の歴史かも知れない。
 
その経験があってはじめて成功に繋がっていくのなら、
年配者の言葉はまさに宝の山。
 
そう自分に言い聞かせて先輩の言葉を大切に聞いてきたが、
気が付けば自分もそんな年令になっている。
 
ただ・・・
 
色恋沙汰だけは、あまり経験が役には立たないもの・・・
だよねぇ・・・(/–)/
 

 
「ペッシェドーロ」
045−682ー5635
横浜市西区みなとみらい2-3-1 クイーンズタワーA1F
11:00〜22:20

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