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夢 Archive
Lonely Wolf
- 2006-10-06 (金)
- 夢
見知らぬ町を電車で走っていた。
乗客は皆疲れた顔をして、物も言わない。
車輪がレールを削る音が耳障りで
どっかの車軸がずれてるように車両が揺れる。
車内の空気は澱み、鼻を突く臭いが満ちていて、
背中には気持ち悪い汗が滴って落ちた。
何処へ向かっているのかわからないから、
余計に苛つくのだろう・・・
どこかの駅に着いた時、
無意識に飛び出した。
誰も居ないホームに1人。
辺りに色はなく、
赤い列車の尾灯だけが目に刺さる。
あんなに嫌だと思った車内の明かりだけが、
妙に暖かく楽しげに見えるのは何故だろう。
ま・・・
そんなもんだよ・・・と独り言。
自分が望む生き方に、
後悔は必要ない。
例え今、一人きりで立ちつくしていたとしても、
どこにも帰る場所が無かったとしても、
自分が一番自分らしい歩き方をしているのなら、
寂しさもまた、自分らしい生き方の代償だろう。
去りゆく列車を見ながら、
それでも不安に押しつぶされそうな自分を見つめていた。
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明け方に見た夢
- 2006-10-03 (火)
- 夢
フワフワと空に浮いていた。
足下には自分が生きている社会が見えて、
頭上には淡い水色の空がある。
好きな場所に行こうとしても思うように移動する事ができないが、
ぼ〜っとしながら何となく考えると望む方向に動けたりする。
あ・・・
なんだ、君はそこにいたんだ・・・
ずっと探していた人が、
空を見上げて涙を流しているのが見えた。
どうにかして、そこへ辿り着くから、
待っててね・・・と心の中で思うと、
身体は望む方向に向かって動いた。
華奢な指で組んだ私の両手を
掴んで引っ張る人がいる・・・・
その温もりは、懐かしく優しい。
え?
誰が私の手を掴んでいるんだ?
・・・・・と思ったら、目が覚めた。
もちろん、私は1人きりで寝ているのだが、
その感触と温もりだけは手の中に残っていた。
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路
- 2006-06-09 (金)
- 夢
私はコンクリートのような道を歩いていた。
いや、道と言うよりは湿った砂の海に置かれた防波堤のようで、
道の脇には黒く固まった波にもにたうねりを見せる土とも砂ともつかない平地が、あった。
空は暗く曇り、風は冷たく、何故自分がここを歩いているかもわからないまま、
だまって行き先もわからない道を歩いていると、
前に肩まで髪を伸ばした女性が同じ様に歩いているのが見えた。
よかった・・・
1人きりじゃないらしい・・・
と突然、人々の気配が回りから立ち上る。
よく見てみると、海に見える平地の向こうには、同じ様な道が何本も並び
そには間隔を空けて歩く複数の人達が見えた。
「もう、疲れた」
と前の女性が呟く。
と同時に彼女は、突然平地に向かって歩き出した。
一歩、二歩、と歩みを進めるうちに、
彼女の足は徐々にめり込んでいく。
「あ・・・
やっぱり歩けない。」
と彼女がさっきより大きな声で呟き立ち止まると同時に、
彼女の足の回りには水たまりが出現した。
「すいません、助けてください。
動けないんです。」
「ちょっと待って。
今、そばまで行きますから」
私は、彼女に声に引き寄せられるように平地に降りて走った。
え・・?
固い土じゃん、これ。
何故、彼女は歩けないんだろう・・?
もっと柔らかい感触をイメージしていた平地は、
そのたおやかな曲線から感じさせる柔らかさなどは微塵も無いほど固くて、
足跡すらつかないのだ。
「大丈夫ですか?」
「えぇ、なんとか動けそうなんですけど、
足を上げようとすると沈むんです。
引っ張り上げてみてくれませんか?」
「じゃぁ、私の手を掴んで」
「あの・・・、貴方は沈まないんですか?」
「えぇ、足下は凄く固いですよ」
「どうして私だけ・・・あぁ、ダメ・・沈む」
「とにかく掴まって」
彼女の手は冷たく、少し固い感触があったが、
掌だけは柔らかく暖かかった。
「ひっぱりますよ」
「はい、お願いします」
「あ、痛い」
え・・・?
力を込めて握った腕に、
細かいヒビが入ったように見える。
まるで、砂を固めた人形の手を掴んだように、表面がサラサラと崩れだし、
このまま力を入れるとボキリ・・・と折れてしまいそうな恐怖を感じた。
「きゃぁ・・・」
思わず力を緩めた途端、彼女はズブズブと砂に埋まっていく。
「いかん・・・」
思わず腕を握りつぶさないように気遣いながら引っ張ると、
不思議と彼女はそれ以上沈まなかった。
「ごめんなさい・・
変な事に巻き込んじゃって」
「いえいえ、お互いさまですから」
「貴方も道を降りちゃったんですね?」
「え? あぁ、あの道ね」
え?・・・・
振り返ったら、さっき歩いていた道はどこにも無い。
回りを見回すと、この変な大地に私と彼女しかいない事に気付いた。
「ここは、自分で歩こうと思わないと、
こうやって沈む土地なんです。」
「え?」
「私は何度も自分の道を変えるために、ここを渡ってきたのですが、
疲れて歩くのが嫌になった・・・と思った途端、足が埋まってしまって・・・」
「とにかく、貴女を引き上げましょう。
どうやら私は沈まないようですから・・・」
「お願いがあります。
全身の力で私を抱きしめないでください。」
「え・・えぇ。」
「何度か私を助けようとしてくれた人達がいたのですが、
その方が力を込めて私を引き上げようと抱きしめると・・・」
「?」
「その方の腕が粉々に崩れるか、私の身体が崩れて上手くいかないのです」
崩れた後は、どうやって再生したんだよ・・・・?
「一度崩れてしまった身体は、元に戻るのに時間がかかります。」
どういう事?
「貴方は、どなたかと一緒に歩いていたのではないのですか?」
「いいえ、1人でした。」
「そうですか。」
彼女は少し悲しそうな顔をしてから、ため息をひとつ、ついた。
「その・・・崩れてしまった貴女と助けようとした人は、どうなったんですか?」
「身体が元に戻るまで、その場で待つしかないんです。」
「でも、直ればまた、貴女を引き上げる事ができますよね?」
「えぇ。
でも、同じ時に2人が元に戻るのではないので・・・」
「え・・・と、わからないんですけど。
貴女の身体が元に戻っても、まだそうやって埋まっているんですよね?」
「長い時間の間に、この水たまりが乾いてしまうと、私は自分で出られます。
その時、助けようとして下さった方がまだ崩れている時は、
私もその方が戻るまで一緒にいようとするのですが・・・・」
「?」
「崩れてしまった方は、私を恨んだり嫌ったりされて、
傍に居る事を嫌われるんです。」
「はぁ・・・」
「私が崩れているウチに戻れた方は、皆さん私から一刻も早く離れていくので・・・」
「寂しい・・・ですね」
「えぇ・・・
でも、仕方ないんです。」
「貴女の他に埋まっている人は見えなかったんですが・・」
「あの・・・
たくさんいらっしゃるんですよ。
ただ、道から降りちゃうと、見えなくなるんです」
「はぁ・・・」
どういう事かよくわからないのだが、
何度かこういう事態に陥ってる彼女の言う事を、まずは信じるしかない。
「力一杯抱きしめなければ、貴女を引っ張り出す事ができるのでしょうか?」
「たぶん・・・」
「確かに今、私は貴女の腕を握っていますが、
力を入れないと沈みそうで怖いです。」
「引っ張ってもらわないと沈みます。
でも、力を入れると崩れてしまいます。」
「沈んでしまったら、どうなるんでしょう?
沈み切った事はありますか?」
「胸まで沈んだ事がありますが、その時はお婆さんが引きずり上げてくれました」
「お婆さん・・・」
「その方が、力を入れずに引き上げる方法を教えてくれたのです」
「そのお婆さんとは?」
「一緒に歩こうと思ったのですが、私を引きずり上げた後、
『もう一人助けると、ゆっくり寝られるようになるの』と仰って、
私のような人を捜しに出かけてしまいました。」
彼女と話している間、私は彼女の手を握っていた。
勿論、握りつぶさないように加減をしながら、でもしっかり引っ張りながら・・・
「あの・・、どうして私を?」
「貴女が助けを求めたので。」
「ごめんなさい。
巻き込んじゃいましたね」
「まぁ、いいですよ。
私も何故、その道を歩いていたのかわからないので。」
「私の声が聞こえたんですね」
「えぇ」
「嬉しいです」
「・・・そうですか」
何と表現したらいいのだろう・・
砂を固めて作った卵を握っているようで、
その殻を握りつぶした瞬間、殻が砂となって飛び散りそうな・・・不安がある。
しかもそれは、彼女だけでなく、私自身の身体にも起きる現象じゃないのか?
・・・と、思えるような彼女の説明だから、
その不安はどんどん大きくなるばかりだった。
「あの・・・
貴女は何をしている人なんですか?」
「私は、私の存在を示す事が生業です。」
「・・・と言うと?」
「貴方は?」
「私は・・・え・・・と」
あれ?
自分は何をしている人間だったっけ?
「たぶん・・・同じ道を歩いていたので、
同じ生業を持っているのだと思います。」
「道?」
「固い道を歩いていませんでしたか?」
「確かに・・・」
「その道は生業の路なんです。」
「じゃ、今居る場所は?」
「黄泉の国への玄関です」
「え・・・・?」
「だから、このまま沈んじゃうと死ぬんです。」
「じゃ、私が手を離すと?」
「死にます。」
「じゃ、どうして、ここへ降りたのですか?」
「体力があるウチは沈まないんです。
自分の生業を変えたり、一緒に歩ける人を捜すために、
道を変える人はたくさんいらっしゃいます。」
「貴女は『疲れた』と言っていませんでしたか?」
「聞こえましたか・・・ソレも。
えぇ、一人きりで歩くのが嫌になってしまったのです。
何度も一緒に歩こうとしてくれた人達はいたのですが、
さっきも言ったように、一緒に歩けなかったんです。」
「同じ道を歩く人を捜せばよかったじゃないですか?」
「同じ道を歩いていると、その距離を縮めるのが難しいのです。
だから、一緒に歩けそうな人を見つけた場合は、どなたもこの地に降りて
先回りして待ち受けるんです」
「私は、貴女を助けるために降りちゃいましたが、
自分が歩いていた道を見つける事ができません・・・・」
「では、貴方が本当に求めている道では、無いのかもしれません。」
「そんな・・・」
「貴方はしっかり歩けますから、絶対次に歩く道を見つけられますよ」
「なるほど・・・」
ふっと気付いた。
私の手と彼女の手が一体化している・・・?
「うわ!」
「お願い! 驚かないで!!
動かないで!」
「でも・・・手が繋がって・・・」
「ありがとう、私を見つけてくれて」
「え?」
「私達、一緒に歩く者同士です。」
「どういう事ですか?」
「私は、何時も、力一杯私を引き上げてくれる人を求めていました。
でもそれは、いつも私達が触れ合う部分だけを残して崩れる・・という
かなしい結果しか生んでくれませんでした」
「あの・・・?」
「私を助けてくれたお婆さんが教えてくれたのですが、
本当に一緒に歩く者同士は、同じ砂で身体ができているのです。」
「え・・と」
「私の崩れた身体と貴方の崩れた身体が1つになるのが、その証拠です。」
「貴女のような素敵な女性にそう言われると嬉しいですが、
1つに繋がってしまった手では不便ですね」
「優しくお互いを壊さないように抱き上げてくれれば、出られます。
そして2人が歩く道を見つけた時、その手は自然に元に戻ります。」
「その話が本当なら・・・
手が離れてしまう事が逆に不思議ですけど?」
「大丈夫です。
手は離れても、心が繋がっていますから」
「あはは。
なるほど。
でも、そうじゃなかったら?」
「そこまでは私も知りません。
こうやって手が繋がる人に会えた事自体が、奇跡みたいなモノですから」
でも、お互いの右手が繋がったままだと、生活に色々と支障があるよなぁ・・・
と思ったら、目が覚めた。
手にはたっぷりと汗を握っていたが・・・(^_^;)
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