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ジャンフィユー・トレ・ヴィユー

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1人、深夜のバーで飲んでいた。
 
終電を気にする人達が消え、
宿泊の人達は部屋へ消え、
飲まずにはいられない人間だけが取り残されている。
 
 
「こんな時間に珍しいですね」
 
「部下達に付き合ってたからね。」
 
「クールダウンですか?」
 
「うん
 気兼ねなしに飲む時間も大切だしね」
 
 
顔見知りのマネージャーが声をかけてきた。
 
 
「あ・・・
 このストラップ、EOS1の物ですよね?」
 
「良くご存知で」
 
「渋い配色なんで好きなんですよ」
 
「G10に使いますか?」
 
 
彼は写真が好きで、たまに相談を受ける事がある。
コンデジのG10を買ったと聞いていたので、水を向けてみた。
 
 
「やっぱり綺麗ですよ。」
 
「モニターが?」
 
 
ひょっとしたら、
寂しそうな顔をしていたのかも知れない。
 
ほんの少しだけ笑顔になれる時間を、
彼は私に与えようとしてくれたようだ。
 
 

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ジャンフィユー・トレ・ヴィユーが、
グランドシャンパーニュらしい豊かな芳香を膨らませ、
何も考えないくつろぎの時間を導いてくれる。
 
心地よい酔いだけが癒しになる・・・と随分前からわかっていたけど
孤独を楽しめないほど落ちている時は、その効果も薄いらしい。
 
 
うん
よく頑張ってるよ、お前
 
楽しい事も悲しい事も
嬉しい事も辛い事も
全部生きている証でしかないのさ
 
だから
よく頑張ってるよ、お前
 
 
ゆっくりと自分に言い聞かせる
 
 
うん・・・
 
この空気
この時間
やっぱり大切だな
 
それを確認する必要があるほど
自分が見えなくなってたんだな・・・
 
 
「あのさ
 必要だったら前に出るよ?」
 
 
突然、頭の中で「孤独を担当する人」が喋りだした。
と同時に、「怒れる子供」が背中を向けたのが見える。
 
 
 
やっぱり
疲れている・・・らしいね。

コメント:2

愛知の齊藤 09-02-13 (金) 20:30

ボトルがフロスティで全体に繊細な金網が掛かってた頃の
ジャン・フィユー・トレ・ビュゥは 絶品でしたね~

クリスタルボトルになってから あまり 呑まなくなりましたけど

また のんびり呑みたいですね~

某若 09-02-15 (日) 14:27

まさにそのボトルを飲んでた(^_^;

今度飲むチャンスがある時の為に、
飲みきらないでおくね

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